シャドーイングがうまくいかないときは? 練習を4段階にする!

初心者のリスニング力が驚くほど上がるといわれる「シャドーイング」。でも、「難しそうでなかなか手が出ない」「ちょっとやってみたことあるけど、あまりに難しくて挫折」「効果がなかなか実感できなくて・・・」。そんなあなたの不安や悩みに、『はじめての英語シャドーイング』の著者、中林くみこ先生が答えます。これまで7000人以上を指導してきた経験から、シャドーイングの難しさとその理由、各段階での壁の克服法、さらにはその効果を実感するまでの練習の続け方を教えていただきます。

第1回は こちら

シャドーイングができないときは、練習を4段階に細分化してみる

シャドーイングを始めると、「音声に置いていかれる」「口がもつれる」「何度やっても同じ場所で止まる」といった壁にぶつかります。

ここで多いのが、音声についていけるまで同じ英文をひたすら繰り返すか、「自分には無理だ」とやめてしまうかのどちらかです。しかし、できないまま頑張り続ける必要も、すぐに諦める必要もありません。努力を増やすことより、今の負荷を分解しましょう。

今回は、シャドーイングをどこまで細分化すればよいのか、どの段階から再開すればよいのかを具体的に説明します。

まず「どこで止まっているか」を確認する

一口に「シャドーイングができない」と言っても、つまずいている場所は人によって違います。次の4つの状態のうち、どこから難しくなるかを確認してみてください。

 ①スクリプトを読んでもパッと意味が分からない
 ②文字なら分かるが、音声と結び付かない
 ③1文ずつなら言えるが、音声が続くと遅れる
 ④文字を見れば言えるが、隠すと急に言えなくなる

 ①の状態なら、英語の意味を確認するところまで戻ります。
 ②なら、音声を止めて1文ずつまねます。
 ③なら、文字を見ながら音声の速度に乗る練習が必要です。
 ④の状態は、目から入る情報に頼っている段階なので、文字を見ない練習へ進む少し手前にいます。

苦手な段階が分かれば、「全部できない」という感覚だけだったのが「意味は分かるけど、音のつながりで遅れる」のような具体的な課題になり、対処しやすくなります。

段階① 英文の意味を先に理解する

シャドーイングは音のトレーニングですが、意味の分からない英文を使うと、脳は「何と言っているのだろう」と考えることに力を使います。その状態では、音の変化やリズムに集中できません。

英文を読んだときに意味が分からない場合は、素材が難しすぎる可能性が高いので、見てすぐ分かるくらいの易しいものを選びましょう。そのうえで、分からない単語やフレーズがあれば、確認しておきます。

段階② 音声を止めて、1文ずつまねる

英文の意味が分かったら、音声を1文ごと、難しければ短いフレーズごとに止めてリピートします。文字を見ながら、お手本の後に続いて声に出してください。

単語の発音だけでなく、どの音がつながっているか、どの音が消えているか、どこが強く長く読まれているかを確認します。

一度に全部を直そうとせず、毎回1カ所か2カ所に絞ると負担が下がります。「今日は get it のつながりと、文末のイントネーションを合わせる」という程度で十分です。

段階③ 文字を見ながら音声についていく

1文ずつまねられるようになったら、スクリプトを見ながらシャドーイングします。

この段階では、細かな発音を完璧にする必要はありません。全体のリズムに乗り、7割くらい口が回れば次へ進みます。うまく言えない単語が少し残っていても、音声の波から大きく外れていなければ大丈夫です。

どうしても追いつけない場合は、再生速度を0.75倍程度まで落としてください。それでも1文が長ければ、10秒ほどの短い範囲に切ります。

段階④ 最後に文字を隠す

文字を見ながら言えるようになったら、スクリプトを隠し、耳から入る音だけを頼りに口を動かします。文字がなくなった途端に言えなくなるなら、まだ音そのものを十分に捉えられていない箇所があります。

言えなかった1文だけ段階②に戻り、音を止めて確認したあと、文字を見ながら音声についていきます。最初から全体をやり直す必要はありません。

文字なしのシャドーイングも、一度に完璧にしようとせず、3サイクルほどで次の英文へ進みます。同じ英文を何度も繰り返して内容を暗記すると、耳から入った音ではなく、記憶にある英文を言う練習に変わってしまうからです。

一度で完璧を目指さない

真面目な人ほど、1つの英文を完璧にしてから次へ進もうとします。しかし、その日のうちに完成させなくても、学習を続ける中で、以前できなかった音が自然に言えるようになることがあります。

『はじめての英語シャドーイング』では、短い英文から始め、意味確認、リピーティング、文字を見ながらのシャドーイング、文字なしのシャドーイングへ進む流れを採用しています。1つの練習は3サイクルまでにして、章を最後まで進めたあと、できなかった英文へ戻ります。

毎日同じ場所で立ち止まるより、少し間を置いて再挑戦するほうが、耳と脳の変化を実感しやすくなります。1日15分でも構いません。

次回は、こうした練習を3カ月続けた先で、聞こえ方や学習の仕方がどう変わるのか、継続を支える仕組みと合わせて紹介します。

中林くみこ
中林くみこ

カナダ・トロントで語学学校を10年間経営。これまでに7000人以上の生徒を指導し、IELTS、TOEIC、英検、ビジネス英語、翻訳、通訳、英会話など、幅広いコースを担当してきた。その中で、英語初心者にはシャドーイングがリスニング向上に非常に効果的であることを実感(中級者以上にはスピーキング力強化に効果大)。日本帰国後は、シャドーイングをはじめ、独学や多読・多聴の重要性、最新のAIを活用した新しい英語学習法を発信するとともに、独自のIELTS対策講座を開講。常時満席となる人気講座となっている。企業や教育機関でのセミナーにも多数登壇。著書に『 IELTSリスニング&リーディング完全対策 』(アルク)『 分野別×言い換え力 スピーキング攻略 IELTS英単語 』(明日香出版)、『 スマホで倍速! 英語独学ハック 』(Gakken)、『独学で英語を話せるようになった人がやっていること 』『 漫画で英語独学 』(以上リチェンジ)などがある。

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