High Streetの正しい発音は?句の強勢の重要性と前方強勢(後編)【イギリス英語の句の強勢辞典】

この連載では『改訂版 キクタンBRITISH』(アルク)の著者・小川直樹先生が、本書の内容よりさらに詳しくイギリス英語の発音の秘密を深堀りします。その秘密とは、2語(以上)のフレーズの前の単語を強く読むか、後ろを強く読むかという「句の強勢」です。今回は前回に引き続き、前側に強勢のある句を見ていきます。

※この記事では、強勢(アクセント)の位置を分かりやすく示すために一部の英単語の文字の大きさを変えて表示しています。文字の大きさが正しく表示されない場合、English Jounalのオリジナルサイトをご覧ください。

(前回の記事はこちら)

前方強勢の句のパターン(前回のおさらい)

強勢の位置を間違えると、イギリスの地名ですらイギリス人にはっきりと通じません。たとえばイギリスの街でよく見かけるcity hallやtown centreは普通、city HALLやtown CENTREと後ろを強く読み、TOWN centreのように言うことはありません。これはイギリス人にはごく当たり前のことなんですが、日本にいるとまず学べません。だからこそ、句の強勢を身につけると、あなたの英語はより本物の響きを持つことになるのです。

今回は前回の「名詞+名詞」のパターン(CAR parkなど)に引き続き、前側に強勢のある句を見ていきます。

動名詞+名詞

複合名詞の中には、動名詞+名詞というタイプもよく見かけます。そもそも動名詞は、その名の通り名詞の一種ですから、動名詞+名詞は結局、名詞+名詞ということです。もちろん、前方強勢です。1つ例を挙げましょう。

  • SITTING room (164)

BE(イギリス英語)的なSITTING room に対し、同じ意味のLIVING roomは英米共通の表現です。こちらは日本人にもお馴染みですね。これもやはり動名詞+名詞です。

キクBR(『改訂版 キクタンBRITISH』)では、SITTING room以外にも、動名詞で始まる見出し語がかなり出て来ます。

  • WASHING machine (171)
  • WORKING hours (220, 413)
  • WASHING-UP liquid (318)
  • WASHING line (322)
  • DRAWING pin (372)
  • CHANGING room (408)
  • SHOPPING trolley (422)
  • DRESSING gown (511)

WASHING-UP liquid (318)は、wash UPという句動詞全体が動名詞化したものと考えます。より細かく第1強勢の位置を示すなら、WASHING-UP liquid(※)です。

(※編集部注:オリジナルサイトではWASHING-UPのUPの部分が大きく表示されています。)

名詞+名詞でなくても前方強勢!?

複合名詞は通常、名詞+名詞という構造です。しかしときには、形容詞+名詞という構造の複合名詞もあります。でも複合名詞なので、前方強勢です。そのもっとも有名な例はこれです。

  • the WHITE House

昔は、英国ではthe White HOUSEという言い方も使われていました。でも現在は米国同様、前方強勢が普通です。

  • HIGH street (405)

英国での「目抜き通り」の言い方です。形容詞+名詞なので、後方強勢となるはずです。しかも地名でもあります(地名は第4回で説明しますが、後方強勢なのです)。なのに前方強勢なんです。二重の意味で、後方強勢の規則を破っているのです。どういうことなのでしょうか。

英国(に限らず英語圏)に行くとわかりますが、街中には○○ Streetという地名がたくさんあります。たくさんあるからこそ、地名=後方強勢だからといってStreetを強調したら、どうでしょう?

いやいや、聞きたいのはそこじゃない。むしろどの通りなのか、その違いを表す、○○の部分を強調すべきだろ、となりますよね。ということでStreetには通常、強勢を置かないことになっています。その代わり、Streetの前に来る単語に第1強勢が付きます。つまり○○ Streetという地名は、例外的に前方強勢となる地名なのです。

これはAE(アメリカ英語)においても同じです。BEのHIGH streetにあたるのは、MAIN street。これも形容詞+名詞ですが、前方強勢です。

ちなみに、highで始まり、そのhighに第1強勢が付く、もっとも基本的で、よく知られた句は、HIGH schoolです。ただこの句は、主に米国で使われます。英国でも使われますが、学校制度の区分の中にはありません(英国でこれに当たるのはSECONDARY school)。ただCardiff HIGH Schoolのように、学校名などに使われることはあります。

なお、学校名は形容詞+名詞の複合名詞(前方強勢)の宝庫です。

  • PRIMARY school (651)
  • JUNIOR school (651解説)
  • SECONDARY school (652)
  • compreHENSIVE school (652解説)

これらに加え、名詞+名詞の複合名詞の学校名もあります。

  • STATE school (651解説)
  • INFANT school (651解説)
  • GRAMMAR school (652解説)

schoolにはたくさんの種類があります。その区別は、schoolの前に来る語によって行います。だからこそschoolの前に来る語を際立たせる必要が出てきます。だから、juniorやcomprehensiveという形容詞でも、第1強勢が付くのです(なお、comprehensiveは長いので、第1強勢よりも前の部分は小文字で示してあります)。唯一と言ってもいい例外は、public SCHOOLです(ただし前方強勢で発音されることもあります)。

例文や解説に出てくる前方強勢の句リスト

最後に、キクBRの中に出てくる、BEの複合名詞で、ここまでで取り上げなかったものをまとめて挙げておきましょう。これらは見出し語ではなく、例文や解説の中に使われているものです。つまり発音表示のない句です。

  • Chapter 1「イギリス英語の発音」に登場:BOARDING pass (030例文)、POWER shower (104)、BANK note (198) (1単語で表記することも多い)
  • Chapter 2「起きてから寝るまでのイギリス生活英単語」に登場:TOILET roll (282)、TAP water (284)、FACEcloth (285)、DISH soap / DISH detergent (318)、CLOTHES line (322)、WORKmate (328)、VOICEmail (330)、BOX lunch (354)、CHIP shop (360)、PHOTOcopier (369)、CORRECTION fluid (376)、CASH dispenser (378)、BANK account (380)、HOTpot (389)、FITTING room (408)、CASH register (423)、TALK show (469)、SOAP opera (470)、CHICK flick (497)、NIGHTdress (512)、BABY powder (513)、BLOW-dryer (514)
  • Chapter 3「トピック別・英米で異なる単語」に登場:CHICKpeas (591)、SERVICE station (605)、GEAR stick (614)、ROOF rack (615)、DRIVING licence (616)、TEAM logo (625)、DUSTman / DUSTbin man (643)、HAIRdresser / HAIRstylist (647)、BEAUTY salon / BEAUTY parlor (647)

なお、解説の中には、AEの句もかなり取り上げられています。でも、今回のこの連載ではAEの句は扱っていません。それについてはまたいずれ機会ある折に解説したいと思います。

(次回に続く)

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Ogawa
小川直樹(おがわ・なおき)

英語音声学・英語学者。1961年東京生まれ。上智大学大学院言語学専攻博士前期課程修了。津田塾大学非常勤講師。1998年、イギリスのレディング大学で研修。立教女学院短大、聖徳大学の教授職を経て、2013年にコミュニケーションのコンサルティング会社 Heart-to-Heart Communications を設立し、代表取締役を務める。30年以上の女子大での教育経験と教員研修での指導経験を基に、英語発音を中心に、英文法・プレゼン技法などを一般向けに伝えている。『 耳慣らし英語リスニング2週間集中ゼミ 』(アルク)、『 イギリス英語発音教本 』(研究社)、『2週間で攻略!イギリス英語の音読ゼミ 』(コスモピア)、『 学校では教えてくれない 日本人のための英文法の授業 』(ナツメ社)など著書多数。

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