difficultだけじゃもったいない!「難しい」を英語で言い分けよう【まんちゅう式「脱・直訳」言い換えレッスン】

英語を話したり書いたりするとき、いつも同じ表現を使い回してしまっていませんか?幅広い表現をストックしておき、日本語からの直訳に頼らず話せるようになると、意図をより的確に伝え、洗練された印象を与えることができるようになります。本連載では、国連英検特A級(外務大臣賞)、英検CSEスコアSpeaking満点の英語講師・ まんちゅう 先生が、表現のマンネリから脱するためのポイントを全6回で紹介します!

difficultを言い換えよう

「〜が難しい」と聞くと、すぐにdifficultやhardが浮かんでくるのではないでしょうか。どちらも便利な単語ですが、使い勝手が良く様々な場面で使えるがゆえに、他の表現が出てきにくいでしょう。difficultを出発点として、何がどう難しいのかをよりニュアンスを込めて伝えるための6つの表現を紹介します。

1.「話や仕組みが入り組んでいて難しい」と伝えるとき

complicated

A: Did you understand the movie?
映画の内容、分かった?

B: Not really. The story was complicated.
あまり。話が難しかったよ。

complicated は、複数の要素が絡み合っていて理解しづらい状態を表す単語です。よく「複雑な」と訳されますが、「難しい」のバリエーションとしても使えます。例文のような映画の話題であれば、「登場人物の関係、時系列、伏線などが絡み合っていて追いにくかった」という内容を一語で表せます。

また、人について He’s complicated. と言うと、性格、感情、動機などが理解しにくい人というニュアンスになり、He’s a difficult person. の「扱いづらい人」という意味との違いが出ます。

【complicatedの使用例】

  • It’s a little more complicated than that. 「話はそんなに単純じゃないよ」
  • Things got complicated. 「話がややこしくなった/事態が複雑になった」

2.「少しコツが必要で難しい」と伝えるとき

tricky

(車で新しいショッピングモールへ行こうとしている友人に)
Just so you know, parking there is a little tricky.
一応言っておくと、あそこは駐車がちょっと難しいよ。

tricky は、「単純そうに見えるが実際にやってみると注意やコツが必要」「やり方を間違えたらうまくいかない」ような難しさを表します。私は普段、授業でなるべく文法用語を使わずに理解できるようにしていますが、完全に文法用語なしで説明するのは tricky だと感じています。

Explaining grammar without using technical terminology can be tricky.
「専門用語を使わずに文法を説明するのは、意外と難しい。」

【trickyの使用例】

  • That can be tricky. 「それ、意外と難しいよ」
  • The tricky part is ... 「難しいのは〜の部分だ」
  • It’s a bit tricky to explain. 「説明するのがちょっと難しい」

3.「自分がうまくできず苦労している」と伝えるとき

struggle

A: Pronunciation must be hard to get right in a new language.
新しい言語だと、発音するのって難しいよね。

B: Honestly, I’m struggling with it. My mouth just won’t cooperate.
正直、難しいよ。口がうまく動いてくれなくて。

主語を「私」にしたパターンです。形容詞を使って It is difficult. と言うよりも、動詞を使って I’m struggling with it. と伝えると、「当事者として困っている」「やってはいるけどうまくいかない」「難しいと感じている」という実感が伝わりやすくなります。struggle with math(数学に苦戦している)のようにstruggle with 名詞、I’m struggling to find the right words. 「うまい言い方、言葉がなかなか見つからない」のようにstruggle to do の形で覚えましょう。

【struggleの使用例】

  • I’m struggling to find the right words. 「うまい言い方がなかなか見つからない」
  • I struggle to stay focused. 「集中し続けるのが難しい」
  • I’ve always struggled to remember people’s names. 「昔から人の名前を覚えるのが苦手だ」

4.「力を試されるような難しさ」と伝えるとき

challenging

A: How’s the new job going?
新しい仕事どう?

B: Yeah, it’s been pretty challenging. I’m getting there, though.
うん、結構大変だね。でも少しずつ慣れてきてるよ。

challenging は、自分の知識や能力、努力を試されるような難しさを表します。「決して簡単ではないが、取り組む価値がある」「そこから学びが得られる」といった前向きなニュアンスが出ることもあり、a challenging job(難しい仕事)、a challenging course(難しい講座)、a challenging task(難しい課題)のように、仕事や学習について幅広く使えます。

似た単語に demanding と daunting があります。demanding は、「時間や労力、集中力などを多く要求する難しさ」です。一方、daunting は、「気が遠くなるような、圧倒されるような難しさ」を表します。同じ「難しい」でも、challenging は力を試される、demanding は多くを要求される、daunting は圧倒されると考えると使い分けやすくなります。

【challengingと類語の使用例】

  • It’s challenging to keep everyone engaged. 「全員の集中を保つのはなかなか難しい」
  • It can be demanding to work long hours. 「長時間働くのはかなり大変なことがある」
  • The amount of work seemed daunting at first. 「最初は仕事量の多さに圧倒されそうだった」

5.「時間も労力もかかって難しい」と伝えるとき

take(s) time and effort

A: Can’t we just redesign the website ourselves?
ウェブサイト、自分たちで作り直せないの?

B: We could, but doing it properly takes considerable time and effort.
できるけど、ちゃんとやろうとするとかなりの時間と労力がかかるよ。

「難しい」と感じる理由が、「短時間ではできない」や「長い期間努力を積み重ねる必要がある」であることは多くあります。そのような場合に take time and effort を使うと、難しさの中身をより具体的に表すことができます。「技術的にはできるが、割ける時間やお金が限られているのでできない」という状況でかなり役立つフレーズで、私も重宝しています。

It takes time to develop this skill.(この技能を身につけるには時間がかかる)のように、it takes time and effort + to do の形でも使えます。また、timeやeffortは一方のみでも構いませんし、practice などの他の単語に入れ替えることもできます。

【take(s) time and effortとそのバリエーションの使用例】

  • It takes time to build confidence. 「自信をつけるには時間がかかる」
  • It takes a lot of effort to stay consistent. 「継続するにはかなりの努力が必要だ」
  • Learning to write well takes time and practice. 「上手く文章が書けるようになるには時間をかけて練習する必要がある」
  • Introducing an effective online learning system takes considerable time and effort. 「〈作文などで〉効果的なオンライン学習システムを導入するには、かなりの時間と労力がかかります。」

6.「言うのは簡単だが、実行は難しい」と伝えるとき

easier said than done

A: Just stop worrying about what others think.
他人の目なんて気にするのをやめればいいのに。

B: It’s easier said than done. I know you’re right, but it’s not that simple.
言うのは簡単だけど難しいよ。あなたが正しいのは分かってるけど、そう単純じゃなくて。

「言うは易く行うは難し」という意味の定番表現で、「早寝早起きするべきだ」「他人に何か言われても気にしなければいい」「英語力を上げるには毎日勉強すればいい」のように、やるべきことは分かっているが実行するのは簡単ではない、という場面で使います。

「理屈では分かっているけど、実際にやるとなると話は別だ」というニュアンスを一言で表すことができるため、もっともらしいアドバイスを受けたときにかなり使いやすい表現です。私自身も、「それができれば苦労しないよ」「分かっちゃいるけどやめられない」という感覚でよく使います。

【easier said than doneの使用例】

  • Getting enough sleep sounds simple, but it’s easier said than done. 「十分に睡眠を取るのは簡単そうだが、実際にはそう簡単ではない」
  • Staying calm under pressure is easier said than done. 「プレッシャーの中で冷静でいるのは、言うほど簡単ではない」

「難しい」を、英語の発想で組み立て直す

difficultは馴染みがあり便利な単語ですが、「何がどう難しいのか」を状況に即して考えると、It’s complicated. のようにものやことを主語にしたり、I’m struggling. と自分を主語にしたりと、言えることと言いたいことのギャップを埋めていくことができます。difficultを出発点にして表現を豊かにしていきましょう。次回もお楽しみに。

齊藤 輝(まんちゅう)
齊藤 輝(まんちゅう)

英語講師。山口県出身。都内の英語専門塾で大学入試指導に携わるほか、英語資格試験に特化した個別コーチングを行っている。IELTS 8.5、英検1級(スピーキング満点)、国連英検特A級(外務大臣賞)。Xで英語フレーズやクイズを発信している。
X(旧Twitter)アカウント:@manchuu11355

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