Septemberは「9月」。英語を学び始めたころに覚える、ごく基本的な単語です。でも、語源をたどるとSeptemberには「7」という意味が隠れています。9月なのになぜ7?そんな素朴な疑問から、JanuaryからDecemberまで、12カ月の英語名を改めて眺めてみます。
目次
Septemberは「9月」なのに、名前の中身は「7」
9月になって、カレンダーにあるSeptemberという文字を眺めていたら、ふと気になりました。
Septemberって、どうしてSeptemberなのでしょう。
英語学習のかなり早い段階で、January、February、March・・・と12カ月の名前を覚えます。あまりに基本的な単語なので、私はこれまで「なぜそういう名前なのか」を真面目に考えたことがありませんでした(以前、どこかで読んだ気もしますが、すぐに忘れました)。
そこで、改めてSeptemberの語源を調べてみたところ、ラテン語で「7」を意味するseptemに行き着きました。
「7」と聞いて、Septemberのつづりをもう一度見てみてください。
September。
確かに、頭にsept-があります。
でも、Septemberは7月ではなく9月です。どうして2つずれているのでしょうか。
Marchから数えれば、Septemberは7番目

さらに調べていくと、どうやら鍵になるのは古代ローマの暦のようだと分かりました。
古代ローマの暦について調べると、Marchを年の最初の月として数える時代があったと説明されています。伝承では、当初の暦は10カ月で、MarchからDecemberまでが並んでいたとされます。
Marchを1番目として数えてみると、こうなります。
- March → 1番目
- April → 2番目
- May → 3番目
- June → 4番目
- Quintilis(後のJuly) → 5番目
- Sextilis(後のAugust) → 6番目
- September → 7番目
- October → 8番目
- November → 9番目
- December → 10番目
なるほど。これならSeptemberが「7」に由来するのも納得できます。
暦はその後さまざまな変遷を経て、現在のようにJanuaryから始まる12カ月になりました。一方で、Septemberという名前は残ったということのようです。
月の順番は変わったのに、名前には昔の数え方が残っている。
そう考えると、Septemberという見慣れた単語が、急に歴史の痕跡のように見えてきます。
October、November、Decemberも同じ
ここまで分かると、気になるのがSeptemberの後に続く月です。調べてみると、どれも数字を意味するラテン語に由来するようです。
- September ← ラテン語septem「7」
- October ← ラテン語octo「8」
- November ← ラテン語novem「9」
- December ← ラテン語decem「10」
SeptemberからDecemberまで、7、8、9、10ときれいに並んでいます。
Octoberのocto-は比較的気付きやすいかもしれません。例えば、octagonは「八角形」です。octopusにも「8」を表す要素が見えます。ただし、こちらはラテン語ではなくギリシャ語に由来するそうです。
Decemberのdec-も、「10」に関係する英単語で見かけます。例えばdecimalは「10進法の」「小数の」という意味です。
Novemberのnovemは、現在の英語のnineとはかなり違って見えます。ですが、ラテン語のnovemと英語のnineには、共通する語源があります。
こうして見ていくと、英語だけを見ているとばらばらに思える単語にも、意外なつながりが見えてきます。
JanuaryからJuneの名前も見てみる
SeptemberからDecemberについて調べてみたら、当然、その前の月も気になってきます。
JanuaryからJuneの語源を見ていくと、こちらには数字ではなく、古代ローマの神々や祭礼などに関係する名前が並んでいました。
January――始まりに関係する神、Janus
まずJanuaryです。
語源を調べると、ローマ神話の神Janus(ヤヌス)にちなむ名前だと説明されています。
Janusは門や戸口、始まりや移り変わりに関係する神で、二つの顔を持つ姿で表されることがあります。一方で過去を、もう一方で未来を見る、と説明されることもあるようです。
Janusが「始まり」に関係する神だと知ると、Januaryという名前の見え方も少し変わってきます。もちろん、Januaryが現在のように年の最初の月になるまでには暦の変遷があります。それでも、新しい年の入り口にJanusの名前があるというのは、なかなか印象的です。
February――「清め」に関係する月
次はFebruary。
語源を調べてみると、古代ローマの「清め」に関係する言葉や儀式に由来するとされています。
Februaryは、12カ月の中でもつづりを間違えやすい単語の一つかもしれません。私もこれまでは「つづりを間違えやすい月」というくらいにしか考えていませんでした。それが、文字列の向こう側に古代ローマの習慣があると知ると、少し見え方が変わってきませんか。
March――軍神Marsの月
Marchを調べると、ローマ神話の軍神Mars(マルス)に由来するとされています。
先ほど見た古いローマ暦では、Marchが年の始まりでした。では、なぜ軍神Marsの名を持つ月が年の初めだったのでしょう。
少し調べてみると、冬が終わり、農耕や軍事活動が再び活発になる時期だったことと結び付けて説明されることがあります。古代ローマの人たちにとっての「一年の始まり」は、今の私たちとは少し違った感覚だったのかもしれません。
ちなみに、英語ではMarchと聞くと、同じつづりの動詞march「行進する」も思い浮かびます。これも同じ語源なのかと思ったのですが、どうやら月名のMarchと「行進する」のmarchは、英語に入ってきた経路が異なるようです。
見た目が同じだから、もともと同じ言葉だろう。そんなふうに簡単にはいかないところも、語源を調べる面白さでしょうか。
April――実は、はっきり分かっていない
では、Aprilは何に由来するのでしょうか。その語源は、はっきり分かっていないようです。
ラテン語で「開く」を意味するaperireと結び付け、春に花や木々が開く季節だからという説明があります。また、ギリシャ神話の女神Aphrodite(アフロディーテ)との関係を考える説もあります。
語源を調べ始めると、何でも一つのきれいな答えが出てくるような気がしてしまいます。でも、古い言葉については「よく分かっていない」という結論もあるのですね。
May――女神Maiaの名前
Mayの語源は、一般にはローマの女神Maia(マイア)に由来するとされています。Maiaは成長や豊穣などと結び付けて説明される女神です。
Mayは英語の月名の中でも、とりわけ短く簡単な単語です。助動詞のmayとも同じつづりですね。
では月名のMayと助動詞mayにも何か関係があるのか。気になって調べてみましたが、Marchとmarchの場合と同様、こちらも語源は別でした。
June――女神Junoの名前
Juneはどうでしょう。
一説では、ローマ神話の女神Juno(ユノ)にちなむと説明されています。Junoはローマ神話の重要な女神の一人で、結婚や女性などと関係する女神です。
Juneといえば「June bride」という言葉も思い浮かびます。Junoが結婚と関係する女神だと知ると、つい二つを結び付けたくなります。
JulyとAugustは「人の名前」
ここまで神々や祭礼が出てきました。では、JulyとAugustはどうでしょう。
調べてみると、この二つは少し毛色が違いました。神様ではなく、実在した人物にちなむ月名です。
July――Julius Caesarにちなむ
Julyは、古代ローマの政治家Julius Caesar(ユリウス・カエサル)にちなむ名前です。
これだけでも十分面白いのですが、さらに調べると、この月はもともとQuintilisと呼ばれていたそうです。Quintilisは「5番目」に関係する名前です。
「7月なのに5番目?」と思いますが、先ほどのMarchから始まる並びに戻ると、
- March → 1番目
- April → 2番目
- May → 3番目
- June → 4番目
- Quintilis → 5番目
となります。
ここでも、最初に見たSeptemberと同じ昔の数え方が出てきました。
その後、QuintilisはJulius Caesarにちなんだ名前に改められ、それが現在のJulyにつながっていったとされています。
Julyという短い単語の後ろにJulius Caesarがいるとは、なんとも面白いですね。ちなみに沢田研二さんは「ジュリー」という愛称で親しまれています(完全に余談です)。
August――Augustusにちなむ
Augustは、ローマ帝国初代皇帝Augustus(アウグストゥス)にちなむ名前だと分かりました。
この月も、もともとはSextilisと呼ばれていたそうです。Sextilisは「6番目」に関係する名前です。
Marchから数えると、
- March → 1番目
- April → 2番目
- May → 3番目
- June → 4番目
- Quintilis → 5番目
- Sextilis → 6番目
となります。
そして、その後ろにはSeptember、October、November、Decemberと、7、8、9、10に由来する名前が続きます。
ここまで調べてから12カ月を並べてみると、最初に見たときとはかなり違って見えました。JulyとAugustには古代ローマの人物の名が残り、その後ろには昔の「7、8、9、10」がそのまま続いているのです。
12カ月の名前をまとめてみる
ここまで調べた内容を、現在の月の順番で整理してみます。
- January
ローマ神話の神Janusに由来 - February
古代ローマの「清め」に関係する言葉や儀式に由来するとされる - March
ローマ神話の軍神Marsに由来 - April
語源は諸説あり、はっきりしていない - May
女神Maiaに由来するとされる - June
女神Junoに由来するという説がある - July
Julius Caesarにちなむ - August
Augustusにちなむ - September
ラテン語の「7」septemに由来 - October
ラテン語の「8」octoに由来 - November
ラテン語の「9」novemに由来 - December
ラテン語の「10」decemに由来
こうして並べてみて初めて、12カ月の名前には統一された命名ルールがあるわけではないのだと気付きます。
神様がいたり、祭礼があったり、政治家や皇帝がいたり、数字が残っていたりする。しかも、その数字は現在の月の順番とは合っていません。
普段は12個の名前をひとまとまりで覚えていますが、こうして調べてみると、その中に異なる時代の名残が混ざっていることが見えてきます。
「知っている英単語」を、もう一度眺めてみる
JanuaryからDecemberまでの12語は、英語を学ぶ人ならかなり早い段階で覚える単語です。
私自身、あまりに当たり前に使ってきたので、Septemberを見て「なぜ9月なのに7なのだろう」と考えることはありませんでした。
今回、気になって一つ調べてみたら、次の月も気になり、その前の月も気になり、結局12カ月全部を調べることになりました。
Septemberには「7」があり、Octoberには「8」がある。JulyとAugustには古代ローマの人物がいて、Januaryには神様がいる。
こうして見てみると、昔から知っているはずの単語にも、まだ知らないことがたくさんあります。
普段何気なく使っている言葉を、ちょっと立ち止まって眺めてみる。そんなところから思いがけない発見があるのだから、言葉って面白いですね。
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