昔から使われてきた日本のことわざ。意味は知っていても、「これを英語にすると?」と聞かれたら、意外と迷いませんか。この連載では、ことわざをそのまま英語にしてみたり、英語に似た表現がないか調べたりしながら、ENGLISH JOURNAL編集部なりの英訳にも挑戦します。第1回は「猿も木から落ちる」です。
「猿も木から落ちる」ってどんなことわざ?
第1回のお題は、「猿も木から落ちる」。
木登りが得意な猿でも、ときには木から落ちることがある。そこから、その道に優れた人でも、ときには失敗することがあるという意味で使われることわざです。
「弘法にも筆の誤り」「河童の川流れ」なども、よく似た意味を持っています。
では、「猿も木から落ちる」を英語にすると、どうなるでしょうか。
そのまま英語にすると?
まずは、日本語の比喩をできるだけそのまま残して訳してみます。
- Even monkeys sometimes fall from trees.
猿だって、ときには木から落ちる。
英文としては不自然ではありません。猿が木登りを得意とする動物だと考えれば、「得意な者でも失敗することがある」という意味を推測してもらえる可能性もあります。
ただし、英語の決まったことわざとしてこの表現が使われているわけではありません。何の前置きもなく言えば、文字どおり「猿も木から落ちることがある」という話だと受け取られるかもしれません。
では、英語には近い意味を持つ表現があるのでしょうか。
英語にも似たことわざはある?
調べてみると、英語にはこんな表現があるそうです。
- Even Homer sometimes nods.
ホメロスでさえ、ときにはうっかりする。
Homer(ホメロス)は、『イリアス』『オデュッセイア』の作者とされる古代ギリシャの詩人です。
ここでの nodは、単に「うなずく」という意味ではないようです。Collins English Dictionaryを見ると、「一時的に注意を欠く、うっかりする」という意味の用例として even Homer sometimes nodsが挙げられています。
さらにもとをたどると、この表現は古代ローマの詩人ホラティウスの『詩論(Ars Poetica)』にあるラテン語の一節に由来するのだそうです。どれほど優れたホメロスであっても、ときには出来のよくないところがある、という趣旨の言葉で、そこから「どんな達人でも、ときには失敗する」という意味で使われるようになったとのこと。
ただ、ENGLISH JOURNALのネイティブスタッフによると、Even Homer sometimes nods.は現代のアメリカ英語ではかなり古風で堅い表現。文学関係者の間や書評、学術的な文章などを除けば、実際に使う機会はほとんどないそうです。
参考:
Collins English Dictionary「nod」
Treccani「Quandoque bonus dormitat Homerus」
編集部ならこう訳す!
では、「猿も木から落ちる」の意味をできるだけ保ちながら、英語にしてみましょう。
今回、編集部ではこんな訳を考えてみました。
- Even experts slip up sometimes.
達人だって、ときには失敗する。
slip upは「うっかり間違える」「へまをする」という意味です。「その道に優れた人でも失敗する」という意味をストレートに伝えながら、slipには「滑る」という意味もあるので、日本語の「落ちる」というイメージもほんの少し感じられます。
実際に英語で言うなら?
例えば、仕事のできる同僚が珍しくミスをしてしまったときなら、こんなふうに言えます。
- Don’t worry about it. Even experts slip up sometimes.
気にしないで。達人だって、ときには失敗するよ。
もっとシンプルに Everyone makes mistakes.(誰だって間違えることはある)や Nobody’s perfect.(完璧な人なんていない)と言うこともできます。ENGLISH JOURNALのネイティブスタッフによると、日常会話ではこうしたシンプルな言い方をよく使うそうです。
一方、日本のことわざを紹介するなら、こんな言い方もできます。
- There’s a Japanese saying, “Even monkeys sometimes fall from trees.” It means that even experts make mistakes sometimes.
日本には「猿も木から落ちる」ということわざがあります。達人でも、ときには失敗するという意味です。
さて、皆さんなら「猿も木から落ちる」をどう英訳しますか。
こちらもおすすめ
聞く・読む・解く・続く!アルクの語学学習アプリ「booco」
語学学習アプリ「booco」なら、アルクの語学学習書をスマホで手軽に学べます。
「キクタン」などアルクの人気書籍800冊以上の音声を聞けるのはもちろん、「読む」機能では電子書籍を利用できます。書籍の内容を基にした問題を解いて、力試しや復習ができる「クイズ」機能も!boocoにはログイン機能があるので、学習の進捗などのデータは保管され、機種変更をしても続きから学習を再開できるので安心です。
さらに、Plusプランに加入すれば200冊以上の書籍が学習し放題!
boocoでは、次のような使い方ができます。
- アルクの語学書の音声を聞く
- 電子書籍を読み、しおりを付けて続きから学ぶ
- 単語・並び替え・ディクテーションなどのクイズで力試し
- 学習時間や連続学習日数を確認して目標達成を目指す
- 復習機能で知識を定着させる
- 「今日の一題」で毎日気軽に英語に触れる
聞く、読む、問題を解く、振り返る――毎日の学習をboocoで始めてみませんか?
(※利用できる機能は教材によって異なります。)



