精神科医・井上智介先生と一緒に、英語学習で「しなくてもいいこと」を考えてきた本連載。最後となる今回は、英語と向き合う際の「人としての姿勢」について、井上さんご自身の経験を踏まえてお話しいただきます。
英語学習が楽になったきっかけ
はい、どうもー!井上智介です。ついに来ちゃいましたね、最終回!第6回まで全部読んでくれたあなた、本当にありがとう。今日たまたまここに来たよって人も、ありがとう。感謝感激でございます。ここまでやってきた自分にも「よくやった!」って、心の中で大きな拍手を送りたいです。誰も褒めてくれないので……。
実はわたくし井上、ありがたいことに、これまでにもいくつかのWEB媒体で連載を持った経験があります。なので、「連載ってこんな感じだよね」という相場感覚はそれなりに身についています。
でね、あなたもお気づきかもしれませんが、「全6回」の連載って、なんだか中途半端な数じゃないですか?5回でも10回でもなく、6回。これ、業界的にはとりあえず様子見という、お試し期間なんです。編集部は「この人、読まれるかな~」と探る。で、6回のうちにホームランを連発できれば、編集部から「すみません、もうちょっと続けてもらえませんか?」なんて、おかわりの声がかかるわけです。
そして……なんと今回!
私は「ついに第6回まで来ましたね!ラストなので頑張ってください!」という、とても清々しく熱い応援コメントをいただきました。はい、つまり、そういうことです。察してください。これが、本当にラストです。
「カッコよさそう」で始めていい
でもまあ、何ごとにも終わりはありますよね。では、あなたの「英会話の勉強の終わり」はいつでしょうか。TOEICで満点(990点)を取れたら?英検1級に合格したら?「いや、そこからがスタートやろ」という意見の人もいるかもしれませんね。
私も一時期考えたことがあるんですが、結局のところ「終わりなんてない」と思うようになりました。だったらもう、勉強というか趣味というか、“一生モノ”として付き合っていくと決めてからの方が、気持ちも楽になったんです。
とはいえ、やっぱり勉強を続けるのはしんどいもの。じゃあ、どうやったら続けられるのか ―― そのコツは、自分にとっての原点を思い出すこと。私の場合は、第1回、第2回の記事でも書きましたが、「外国人とスラスラ話せたらカッコよくない?」なんていう純度100%の下心が原点です。仕事でも使えたら役立つだろうという希望的観測もありましたが、やっぱり本音は「外国人と話してみたい!」というワクワクでしたね。

そんな思いで学習を始めた人もたくさんいるはずです。
あなたも、似たような気持ちだったりしませんか?「話せたら楽しそう!」みたいな軽めの憧れ。そんな感じで始めた人もきっと多いでしょう。
そもそも、話すのは好きですか?
でも、ここで一つ、立ち止まって考えてみてほしいことがあります。それが、「あなたは人と話すのが好きですか?」ということ。
これ、笑いごとじゃなくて結構大事な問いなんです。例えば……
- 学生時代、文化祭で周りのテンションに引いていた。
- 会社でのグループワークが地獄。
- 職場で帰るタイミングが同僚と重なりそうになったら、わざとカバンをゴソゴソして時間をずらす。
- 運よくエレベーターに一人で乗れたら、指先に全神経を集中させて閉ボタンを連打する。
- 街中で知り合いを見かけると、全速力で方向転換する。
さあ、どうですか?どれか、思い当たるものがあったり、ギクッとしたりしませんでしたか?ちなみに、私はすべて該当します。
要するに、「英語を話す前に、まず日本語での人付き合いすら苦手だったわ」と思い出したんです。初対面の日本人相手ですらドギマギしてるのに、言葉も文化も違う相手にスラスラ話せるはずなんてありません。もっと言えば、「そもそも『伝えたいこと』なんてあるの?」「人に興味、持ててる?」ってところまで行くんですよね。
英語は、コミュニケーションのためのツールです。そのツールだけを磨いても、それを使って「伝えたい中身」がなければ成立しないわけで……。だから私の場合、「外国人と話せたらカッコいいぜ!」と始めた英会話において、最初に見直すべきだったのは、言語よりも「人と関わる姿勢」だったんです。

細かいことなんか気にしなくていい
で、これがまた奥深くて、「単に英語として通じればOK」というわけでもない。趣味や食の好み、仕事、育った文化や宗教、価値観など、まるごと“その人”に興味を持ってコミュニケ―ションするところまでいけるのが最高ですよね。
日本人同士であっても、「この人には興味わかないな〜」という相手だと、話をしたくないことなんていくらでもあります。英語でもそれは同じ。だから、細かい勉強にこだわるよりも、人への関わりの幅を広げていくことが必要なんです。
今、日本で働いてる外国人の方って、すごく増えているじゃないですか。スーパーとかコンビニとかでもよく見かけますよね。この前も、近所のスーパーに行ったとき、レジ担当が外国人の店員さんでした。それでお会計のときにこう言われたんです。
「お会計は640円でいいです」
「でいいです」って、勝手に値下げしてくれたん?!―― もちろん、思っただけでツッコミはしてないわけで。「てにをは」が少しズレちゃっていても、まったく気になりませんでした。むしろ、伝わっているし意味はちゃんと分かるし、心がホッコリすらしたなあ。
完璧じゃなくてもホラ、伝わった!
書籍やYouTube動画などでは、「この表現、ネイティブは使いません!」なんていう、「大きなお世話だよ」と言いたくなる切り口のものもありますよね。でも、私みたいな初心者がそんな細かいところばかり気にしていたら、話せなくなってしまう。大事なのはやっぱり「伝わる」こと。そして何より、「伝えたい」という気持ちでしょう。
そんな風に強く思うようになったきっかけがあります。それは、外国人に「Excuse me.」と話しかけられ、地下鉄の駅の場所を聞かれたときのこと。内心「ひぃぃ!」なんて思いながらも、「えーっと、This station is……あっち!」って全力で指差して伝えたら、意外と通じたんです。
かなりグダグダだったけど、「完璧じゃなくても伝わることが大事だろ」と開き直れた瞬間でした。その人に特別な興味を持ったわけではありません。でも、「困ってそうだから助けてあげたい」と思えた。その気持ちが、私なりの“関わる姿勢”だったんだと思います。
カタコト上等でいい、一番重要なのは
英会話の学習を通して得た私の大きな気づきは、「自分、そもそも陰キャでコミュ障やったわ」という現実。よく「英語を学ぶと世界が広がる!」なんて言いますけど、実感としては“勝手に広がる”わけじゃなくて、“自分の心を開かないと始まらない”ってこと。
だから、「英会話を身につける」ことは、スピーキングやリスニングのスキルだけをただ磨くだけじゃなく、人と接することを怖がらない、もっと言えば、自分から話しかける心を育てることなんです。
例えば職場でも、「挨拶されたら返す」で終わるのではなく、積極的に自分から「おはようございます!」と言うようにしてみたり、あるいは、同僚にちょっと雑談を振ってみたり。旧友に「元気にしてる?」とLINEしてみたり、スーパーのレジで「ありがとうございます」を店員さんの目を見て笑顔で伝えてみたり。
英語だと「通じなかったらどうしよう」「聞き取れなかったらどうしよう」と不安になりますが、日本語でも「無視されたらどうしよう」「『今、話しかけないで』ってキレられたらどうしよう」って不安になりますよね。
結局、どの言語であっても、私は自分の高い高いプライドを守るために“話しかける勇気”を持てずにいたわけです。英会話を学ぶ手前にある本当に大事なことというのは、まず日本語で話す際に、“人に興味を持ってちゃんと関わること”だったんですね。
英語学習に関する連載のラストでまさかの「日本語でのコミュ力の話かよ!」という感じかもしれませんが、これが私のリアルな実感です。英語はあくまでツール。ツールを使って、相手の気持ちを知ったり、自分の考えを伝えたりしていく。つまり英語の勉強って、最終的には「人とどう関わっていくか」という、生き方そのものの訓練なのかもしれません。
だから、これからもカタコト上等!ボロボロでも、伝えたい気持ちと自分から関わる勇気を忘れずに進んでいきましょう。最後まで読んでくれて、本当にありがとう!また、どこかで。ばいばーい!
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