翻訳家の柴田元幸さんが、毎回一人、英米現代・古典の重要作家を選び、その小説の翻訳術を紹介します。まずは作家の特徴がよくわかる文章と、柴田翻訳の妙技をご堪能ください。
紹介する作家:スティーヴン・ミルハウザー
1943 年アメリカ、ニューヨーク生まれ。1972 年、『エドウィン・マルハウス』でデビュー。1996 年に発表した『マーティン・ドレスラーの夢』でピュリツァー賞を受賞。
『Alice, Falling』
Alice, falling, sees on the top shelf of the open cupboard a jar bearing the label RASPBERRY JAM, a yew-wood tea caddy with brass fastenings and a design of handpainted plants and flowers on the lid, and a tin of lemon snaps: the dark green top shows in the center an oval containing a colored head of Prince Albert. On the bottom shelf Alice sees a porcelain dessert plate with a gilt border and a center panel showing a young man in a tilted tricorne, red jacket, and white breeches, standing beside an oak tree; a bread knife with an ivory handle carved to show a boy holding wheat in his arms; and a silver-plated cream jug with a garland of silver-plated leaves and berries encircling the base .
(Steven Millhauser, “Alice, Falling”)
( スティーヴン・ミルハウザー「アリスは、落ちながら」)
言うまでもなくこの“Alice, Falling” 冒頭は、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を踏まえている。元祖アリスと較べてみれば(キャロルをおとしめるつもりは毛頭ないが)、ミルハウザーの「解像度」の高さは一目瞭然である。
たとえば、こんなふうに始まる短篇―
(Steven Millhauser, “Home Run ”)
(スティーヴン・ミルハウザー「ホームラン」)
柴田元幸さんの本
1954(昭和29)年、東京生まれ。米文学者、東京大学名誉教授、翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、ブライアン・エヴンソンなどアメリカ現代作家を精力的に翻訳。2005 年にはアメリカ文学の論文集『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞を、2010年には翻訳『メイスン&ディクスン(上)(下)』(トマス・ピンチョン著、新潮社)で日本翻訳文化賞を、また2017年には早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌「MONKEY」(スイッチ・パブリッシング)の責任編集も務める。
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