【IELTS対策】勉強法・おすすめ教材を紹介

海外留学や移住を目指すうえで避けて通れないのがIELTS(アイエルツ)です。TOEICや英検に比べて日本国内ではまだ情報が少なく、「何から始めればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、IELTSの基本情報から各セクションで求められる能力、効果的な対策のポイント、そして実際に使えるおすすめ教材まで、IELTS対策に必要な情報を網羅的に解説します。初めてIELTSに挑む方はもちろん、スコアアップを目指す方もぜひ参考にしてください。

IELTSとは?

IELTS(International English Language Testing System)は、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationの3団体が共同で運営する英語能力試験です。世界140か国以上、10,000を超える教育機関・企業・政府機関が英語力の評価基準として採用しており、年間350万人以上が受験する、世界で最も広く認められた英語試験のひとつとなっています。

IELTSの特徴

4技能を総合的に測定する試験であり、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの全セクションを1日で受験します。試験時間は合計約3時間です(出典:IDP IELTS公式|出題形式)。スピーキングは試験官との対面形式で行われるため、録音式のテストとは異なり、聞き返しや言い直しが可能です。

2つのモジュールがあり、目的によって受験する種類が異なります。「アカデミック・モジュール」は海外の大学・大学院への留学を目的とする方向けで、学術的な内容が出題されます。「ジェネラル・トレーニング・モジュール」は英語圏での就労や移住を目的とする方向けで、日常生活や職場に関連した内容が出題されます。リスニングとスピーキングは共通問題ですが、リーディングとライティングの内容が異なります

スコアは「バンドスコア」で評価されます。各セクション1.0〜9.0の0.5刻みでスコアが付き、その平均がオーバーオール・バンドスコア(総合評価)となります。合否ではなく、自分の英語力のレベルが数値で細かく示されるのが特徴です。

出典:IDP IELTS公式|出題形式

受験形式はペーパー版とコンピューター版の2種類が用意されています。ペーパー版は月に2〜4回程度の頻度で実施され、コンピューター版は全国の主要都市にある専用会場でほぼ毎日実施されています。コンピューター版は結果も3〜5日程度で返却される点が大きなメリットです。どちらの方式を選んでも、試験内容や採点基準に違いはありません。さらに最近ではIELTSオンライン版も導入されており、自宅から受験することも可能になっています(ただし対応機関が限られるため事前確認が必要です)。

IELTSの難易度

IELTSは、日本で広く受験されているTOEICや英検と比較すると難易度が高い試験とされています。

文部科学省が公表しているCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の対照表を参考にすると、おおまかな目安は以下のとおりです。IELTS 5.5〜6.0が英検準1級・TOEIC 780点前後に、IELTS 7.0〜8.0が英検1級に、それぞれ相当します。なお、TOEIC満点の990点でもIELTSでは7.5程度に相当するとされており、IELTS 8.0以上にはTOEICの換算スコアが存在しません。

IELTSの難易度が高いと感じられる主な理由としては、4技能すべてを一度に測定されること、学術的で専門性の高い語彙が多く出題されること、ライティングの採点基準が非常に厳格であること、そしてネイティブスピーカーでも全セクションで9.0を取得するのが困難とされるほどの高い到達基準が設定されていることが挙げられます。

一般的に、IELTSのスコアを0.5上げるためには100〜300時間の学習が必要といわれています。日本人のアカデミックモジュールにおける平均オーバーオール・バンドスコアは5.9前後であり、海外大学進学で一般的に求められる6.0〜6.5に到達するには、多くの方にとって計画的な学習が欠かせません。

IELTSが必要なケース

IELTSのスコアが求められる代表的な場面は以下のとおりです。

海外の大学・大学院への留学

IELTSの最も一般的な用途です。多くの英語圏の大学では、入学条件としてIELTSアカデミックのスコア提出を求めています。大学学部レベルではオーバーオール6.0〜6.5、大学院レベルでは6.5〜7.0が目安とされていますが、大学やプログラムによってはさらに高いスコアが必要な場合もあります。

英語圏への移住・永住権申請

オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、イギリスなどでビザ申請にIELTSジェネラル・トレーニングのスコアが必要となることがあります。特にイギリスでは、2014年以降TOEICやTOEFLのスコアがビザ申請に使用できなくなったため、IELTSの重要性が一段と増しています。

国内の大学入試への活用

日本国内でも300校以上の大学がIELTSのスコアを入試に活用しており、英語試験の免除や加点措置が受けられるケースがあります。

そのほかにも、海外での専門資格取得(看護師、医師、エンジニアなど)の英語力証明や、外務省をはじめとする公的機関への就職・出願にもIELTSスコアが活用されています。

なお、IELTSでは目標スコアに届かなかった1つのセクションだけを再受験できる「One Skill Retake(ワンスキルリテイク)」制度が導入されています。全セクションを再受験せずに特定のセクションのスコアを改善できるため、スコアアップを効率よく目指せる手段として活用を検討する価値があります。

IELTSに求められる英語力

IELTSでは、英語の「知識」だけでなく、実際にその知識を「運用」する力が問われます。セクションごとに求められる能力を理解し、的を絞った対策を行うことがスコアアップへの近道です。

リーディング

リーディングセクションは、60分で3つの長文パッセージから計40問に解答する構成です。アカデミック・モジュールでは、書籍、学術雑誌、新聞などから抜粋された学術的な文が出題されます。

求められる能力として最も重要なのは、長文の要旨をすばやく把握する力です。1つのパッセージが700〜1,000語程度あるため、すべてを精読していては時間が足りません。スキミング(全体の流れを把握する読み方)とスキャニング(特定の情報を探す読み方)を使い分ける技術が不可欠です。

また、IELTSでは「パラフレーズ(言い換え)」が頻繁に使われます。設問文と本文で同じ内容が異なる表現で書かれていることが多いため、語彙力に加えて文脈から意味を推測する力が試されます。

出題形式もTOEICや英検とは異なり、穴埋め、マッチング、True/False/Not Given、見出し選択など多様です。問題の種類ごとに解き方のコツがあるため、事前に出題形式に慣れておくことが大切です。

リスニング

リスニングセクションは約30分で4つのセクション計40問に解答します(ペーパー版は解答転記のため10分が加わり合計40分、コンピューター版は見直し時間2分のみ)。セクション1・2は日常会話や生活に関する場面設定、セクション3・4は大学の講義やセミナーなど学術的な内容で構成されています。

最大の特徴は音声が一度しか流れないことです。聞き逃した箇所を確認できないため、集中力の持続と、聞きながらメモを取るスキルが求められます。ペーパー版では最後に10分間の転記時間がありますが、コンピューター版では転記が不要な代わりに見直し時間が2分と短く設定されています。

出題内容には、選択問題だけでなく、地図や図表の分類、フローチャートの穴埋め、短い記述問題など多様な形式が含まれます。記述問題ではスペルミスや文法の間違い(複数形のsの脱落など)も不正解となるため、細かい正確性にも注意が必要です。

さらに、IELTSはイギリス英語がベースですが、オーストラリア、アメリカ、カナダなどさまざまなアクセントの英語が使用されます。多様な英語を聞き取る力を日頃から養っておくことが重要です。

ライティング

ライティングセクションは60分で2つのタスクに取り組みます。タスク2のほうがタスク1よりも配点が高く、より多くの時間を割くことが推奨されます。

アカデミック・モジュールのタスク1では、グラフ、図表、地図、プロセス図などを分析し、情報を客観的に記述する力(150語以上)が求められます。タスク2では、与えられたテーマについて自分の意見を論理的に展開するエッセイ(250語以上)を書きます。

採点はネイティブスピーカーの試験官により、「課題への回答の的確さ」「文章の一貫性と論理構成」「語彙の幅と正確さ」「文法の幅と正確さ」の4つの基準で行われます。正確性を保つため、少なくとも2人(場合によっては3〜4人)の試験官が採点にあたります。

規定の語数を下回ると、内容の質に関わらず大幅な減点となるため、必ず語数を満たすことが前提です。また、同じ単語や表現を繰り返し使うことはスコアに悪影響を与えるため、語彙のバリエーションを豊かにしておく必要があります。

IELTS対策で意識したいこと

IELTSの対策を進めるにあたって意識したいポイントをまとめました。

出題形式を徹底的に把握する

IELTSには、TOEICや英検とは異なる独自の出題形式が多く存在します。IDP IELTS公式サイトでも述べられているとおり、IELTS独自の出題内容や形式を十分に把握したうえで学習のコツを掴むことが、高スコアへの近道です(。

たとえば、リーディングのTrue/False/Not Givenは、「本文に書かれていない」と「本文の内容と矛盾する」を正しく区別する必要があり、日本人学習者が最も苦手とする問題形式のひとつです。こうした形式に慣れるには、実際の試験に近い問題を繰り返し演習することが効果的です。

苦手セクションの集中強化とスコア戦略を立てる

IELTSでは4技能の平均がオーバーオール・バンドスコアになるため、1つのセクションで大きく落とすと全体のスコアに大きく響きます。自分の強みと弱みを分析し、どのセクションで何点を目指すか、具体的なスコア配分の戦略を立てることが重要です。

たとえば、オーバーオール6.0を目指す場合、リスニング6.5・リーディング6.5・ライティング5.5・スピーキング5.5という配分であれば、日本人が比較的得意とするインプット系のスキルでスコアを稼ぎ、苦手になりがちなアウトプット系のセクションの負担を軽減できます。

苦手なセクションに特化した参考書を追加購入し、集中的に演習する期間を設けることも効果的です。

公式問題集を中心に繰り返し演習する

IELTS対策で最も重要な教材は、ケンブリッジ大学出版局の公式問題集です。IELTSには実際の過去問は公開されていませんが、ケンブリッジ出版はIELTS運営団体のひとつであるため、過去問の代わりとして最も信頼性の高い教材です。

ただし問題を解いて終わりではなく、復習にこそ十分な時間をかけることが大切です。解答後には、不明だった単語や文法事項を洗い出し、リスニングであればスクリプトと照らし合わせてシャドーイングを行い、ライティングであれば模範解答と自分の文章を比較分析するなど、一問一問を深く理解する姿勢がスコアアップにつながります。スピーキングについては、公式問題集の予想問題を使って自分の解答を録音し、発音・流暢さ・論理構成を自己チェックする練習が効果的です。可能であれば採点基準を理解した講師や学習パートナーからフィードバックを得ることも、スコアアップへの近道になります。

IELTS対策のおすすめ教材

IELTSの対策には専用の教材が重要です。信頼性の高いおすすめ教材をまとめました。

改訂新装版 IELTSライティング完全対策

IELTSライティング完全対策は、ブリティッシュ・カウンシル公認IELTSエキスパートで、ロンドン大学教育研究所応用言語学修士の著者による、ライティング特化の対策書です。日本人受験者が最も苦手とするライティングセクションをターゲットに、「型」と「パラフレーズ(言い換え)」という2つの鉄則を軸とした学習設計が特徴です。

本書の対象は、バンドスコア5.5〜6.5レベルから7.0超えを目指す学習者です。まずトピック別の短文作成で基礎を固め、続いて頻出20トピックに対応した本番レベルの問題をこなす構成になっています。

各問題には構想・段落構成・まとめ方まで段階的な解説がついており、自分の「型」を習得できます。また、コロケーションや言い換えに使える重要表現のコーナーも充実しており、語彙の幅を広げながら採点官に評価される答案の書き方を身につけられます。

IELTSバンドスコア9.0満点チームが監修した質の高いモデルエッセーを通して、説得力のある英文エッセイを書く力を強化したい方におすすめです。

Cambridge IELTS 公式問題集シリーズ

Cambridge University Pressが出版する公式問題集で、IELTS対策における最重要書籍です。シリーズは1巻から始まり、最新の20巻まで出版されています。各巻にリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの模擬試験が4回分収録されており、本番さながらの演習が可能です。

全編英語で書かれているため初学者にはハードルが高く感じられるかもしれませんが、リスニングにはスクリプトが付属しており、問題形式への慣れと実力チェックの両面で非常に有用です。まずは最新巻から購入し、やり尽くしたら1つ前の巻へ遡る形で進めるのがおすすめです。

※移住・就労目的でジェネラル・トレーニングモジュールを受験する方はGeneral Training版をご購入ください。AcademicとGeneral Trainingはリーディング・ライティングの問題が異なるため、別書籍となっています。

実践IELTS英単語3500 改訂版

IELTSに頻出する英単語を網羅した、旺文社による定番の単語帳です。IELTSでは学術的で専門性の高い語彙が多く出題されるため、TOEICや英検用の単語帳だけでは不十分な場面が少なくありません。

本書はIELTS特有の単語をレベル別に整理しており、「基本語1000」と「重要語2500」の2部に分かれています。「重要語2500」はさらにレベル1〜5の5段階(各500語)に細分されており、目標バンドスコアに合わせて効率的に学習できます。すべてイギリス英語のスペリング・発音で掲載されている点もIELTS対策ならではの配慮です。例文もIELTSの出題傾向に即した内容で構成されており、単語の意味を覚えるだけでなく、例文ごと音読することで、リスニングやスピーキングにも活かせる実践的な語彙力を養えます。IELTS対策のスタートとして、まず手に取りたい一冊です。

IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集(旺文社)

IELTS共同運営団体であるブリティッシュ・カウンシルが著し、旺文社が編集した日本初の公認問題集です。日本語で丁寧な解説が付いたIELTS入門者向けの総合対策書で、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの出題形式、テストの流れ、評価基準、攻略法が網羅されており、日本人がつまずきやすいポイントが的確にカバーされています。

本番形式の模擬試験も収録されているため、試験全体像の理解から実践演習までを一冊でこなすことができます。IELTSについて何も知らない状態から学び始める方や、まずは日本語で試験の概要をつかみたいという方に特におすすめです。

改訂新装版 IELTSスピーキング完全対策

IELTSスピーキングでは「英会話ができる」だけでは高スコアに結びつかず、語彙力・パラフレーズ力・論理展開力という3つの評価軸に応える話し方が求められます。本書はこの3要素を効率よく習得するために設計されています。

学習は「短い会話(Part 1)→ 長めのスピーチ(Part 2)→ 深掘りした受け答え(Part 3)」という本番と同じ流れで進む構成で、前半では短文練習で表現の土台を固めます。

頻出テーマ20個に対応したモデル解答は日本人学習者が親しみやすい内容で作られており、類語・語源の解説も充実しています。また、改訂新装版では新たに「IELTSスピーキング リハーサル面接動画」が無料特典として追加されており、本番の面接の流れや立ち振る舞いを映像で確認できます。ダウンロード音声と合わせてシャドーイングや録音練習に活用することで、インプットからアウトプットまで体系的に対策できます。

まとめ

IELTSは正しい対策と教材選びで着実にスコアアップを狙える試験です。まずはケンブリッジ公式問題集と単語帳で基礎を固め、自分の弱点に応じて専用の教材を進めるのが効率的な学習です。目標スコアと受験日から逆算して計画を立て、着実に学習を進めていきましょう。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

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